【読書】グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた
随分前に読んだけど、ちゃんと感想を書いてなかった。
- 作者: 辻野晃一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/11/22
- メディア: 単行本
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日本の大企業はベンチャーだった
以前、とあるセミナーで辻野さんの講演を聞いたことがある。
その時も、言葉の節々からSONYへの愛着を感じた。
昔の日本の大企業はベンチャーだったと。
SONYの盛田氏、井深氏も、自分の会社のためではなく、日本の技術の未来を開くため奮闘された方だと。
かつては、出る杭を推奨するような文化だったSONYが、どんどん変わっていってしまうのを見つつ、Googleで昔のSONYを思い出すような描写があり、切なくなった。
大企業のなかで
自分が経験した大企業のような、大企業あるある、という話題がいくつかあった。
調整の多さ、会議の多さなど…。
SONYでは、事業所によってカルチャーがぜんぜん違う。
自由奔放なところもあれば、会議でも肩書順に座るところが決まっているなど…。
むしろSONYですらこういうところがあるのかと読んでびっくりした。
そして、成果を出すためにはカルチャーから変えなくてはいけないと、奮闘する大変さも書かれていた。
日産ゴーン氏とのエピソード
ゴーン氏とのエピソードでは、ゴーン社長が日産の改革に挑んだ時、「とにかく問題だらけで、大きな改善の余地(potential of progress)を感じた」と言っていることから、当時の日産の状況に対して、ポジティブな思考を持っていたそうだ。
あの大きな会社を改革するには、物凄いプレッシャーもあるだろうに、それをポジティブにとらえてしまうのは凄い。
カンパニーへのメッセージ
また本の中で何度か、辻野さんが新しい部署(SONYではカンパニーと言っている)に行った時に、社員に向かって出したメッセージをそのまま載せていて、それが印象的だった。
自分が経験した会社では、方針説明はあったがメッセージを送信することはなかった。
SONYの事業部長と言われる方々が、皆そういうメッセージを出しているかは分からないが、社員にとっては自分たちのトップになった方がどのような考えで、何を目指していて、どのように変えていきたいか、自分たちに何を求めているかを公表してくれるのとありがたいと思う。
実際に自分の時は上司からの、「○○さんはこういうことを考えているらしい」という伝達がほとんどであった。
辻野さんがSONYから離れる辛さが紙面から伝わってきた。
自分は実際に現場にいたわけではなく、一連の話は現場にいた他の方から見たらまた違った側面を持つかもしれない。
Googleの10の真実
本の中では、Googleがかかげる10の真実に対して、実際に会社のなかで感じたことを書いている。
Google が掲げる 10 の事実 – 会社情報 – Google
http://www.google.co.jp/about/company/philosophy/
この中で印象的だったのは、イノベーションを促進するために必要なのはコミュニケーションであり、コミュニケーションをしすぎるということはありえない、と言っていること。
そのためにはいつでも本音で人と会話できる雰囲気や、カルチャーが重要であり、そのためにヒエラルキーなどを排除した雰囲気を会社としてつくろうとしていること。
それを実際に社員が2万人(2012年末の時点では5万人になっている)になっても維持するための努力を続けていること。
また、広告収入という利益を稼ぎだすことに特化した事業と、それ意外のインターネットを改革するための未来の活動(Googleマップや、GoogleGlassなど)に分けていること。
このため、大胆な活動をすることが可能になると述べている。
変化を受け止め適応すること
この本で何度も語られていることは、大きな変化、どんどん加速する変化の中で、変化を積極的に受け入れる態度が必要だということ。
流れに逆らっても、結局は淘汰されてしまう。それは個人も、企業も、政府でさえも同じである。
また、働く人は、以下の視点を持つべきだと書いている。
自分が現在価値を守る立場で仕事をしているか、
それとも将来価値を生み出す立場で仕事をしているか。
日常の仕事に没頭してしまうと、そういうことを考えなくなりがちなので、気をつけようと思った。